《具体例付き》人材紹介の推薦状で通過率が数倍変わる!?効果的な書き方や具体的な事例まで徹底解説

目次
Toggle人材紹介業の推薦状とは?

推薦状とは何か
推薦状とは、特定の人物を他者に推薦する目的で作成される書類のことです。企業への応募書類として提出されるのが一般的で、履歴書や職務経歴書だけでは伝えきれない、その人物のスキルや人柄、実績を第三者の視点から客観的に伝える役割を担います。
人材紹介業では、キャリアアドバイザーが担当している求職者について、採用企業に対して魅力点を訴求したいときに作成されます。推薦状はほとんどの人材紹介会社が導入しており、推薦状の内容によって書類選考の通過率が変化する場合もあります。
人材紹介における推薦状がもつ役割
先に記載したとおり、人材紹介における推薦状は、キャリアアドバイザーが求職者と企業の間に入り、求職者の強みや魅力を補足説明する重要なツールです。履歴書や職務経歴書が「事実」を伝える書類であるのに対し、推薦状は「事実に基づいた解釈」を伝える書類と言えます。
具体的には、以下の3つの役割があります。
- 求職者の魅力を補完する: 履歴書や職務経歴書には書ききれない、求職者の人柄や仕事への姿勢、モチベーションといった定性的な情報を伝えることができます。これにより、採用担当者は求職者の人物像をより深く理解し、自社の社風やカルチャーに合うかどうかを判断しやすくなります。
- 書類選考通過率を高める: 推薦状を通じて求職者の強みが企業側の求める人物像と合致していることを具体的に示すことで、書類選考の通過率を高める効果が期待できます。
- 信頼関係を築く: 推薦状は、求職者とキャリアアドバイザー、そして企業との間の信頼関係を築く上でも重要です。キャリアアドバイザーが求職者のことを深く理解し、自信を持って推薦していることを伝えることで、企業側も安心して選考を進めることができます。
推薦状に盛り込むべき内容
紹介したい人物の簡単な経歴
推薦状の冒頭で、推薦する人物の簡単な経歴を記載します。氏名、年齢、最終学歴、現在の役職などを簡潔にまとめ、どのようなバックグラウンドを持つ人物なのかを明確にします。これにより、採用担当者は推薦状を読む前に、推薦する人物の全体像を把握できます。
人柄や性格面の所感
前職までの退職理由
「なぜおすすめしたいのか」というキャリアアドバイザー目線の推薦理由
推薦状の核となるのが、この推薦理由です。なぜこの求職者が、この企業にふさわしいのかを具体的に述べます。企業の求める人物像や、募集職種の要件を深く理解した上で、求職者のスキルや経験がどのように活かせるかを具体的に説明します。企業の理解がまだ進んでいない場合は、最低限、なぜこの職種で活躍できるのかといった大まかな内容を付け加えることもおすすめです。
「〇〇さんの〇〇というスキルは、御社の〇〇という業務で大いに貢献できると考えます」といった形で、企業側のメリットを明確に提示することが重要です。
(もしあれば)学校の中退理由
第二新卒や若手人材をメインで支援している人材紹介会社の場合、対応する求職者によっては学校の中退理由を補足する必要が出てくることもあります。もし中退歴がある場合は、その理由を推薦状で簡潔かつ正直に説明し、その経験が現在の仕事への向き合い方にどう影響しているかをポジティブに伝えましょう。
推薦状に書くべきではない内容
推薦状には、効果を高めるために書くべきではない内容も存在します。ここでは、避けるべきポイントについて解説します。
個人情報保護に関わるセンシティブな内容
求職者から書いてほしくないと言われた内容
求職者自身が「これは書いてほしくない」と明言した内容は、絶対に記載してはいけません。キャリアアドバイザーは求職者との信頼関係を第一に考える必要があります。もし、求職者にとって不利益になる可能性があると判断した場合は、事前に求職者本人と相談し、同意を得た上で記載するかどうかを判断しましょう。自分では判断に迷う場合は上司や先輩などに指示を仰ぐことも大切です。
事実に基づいていない虚偽の内容
推薦状は、客観的な事実に基づいて作成されるべきです。求職者のスキルや実績を過度に誇張したり、事実と異なる内容を記載したりすることは、絶対にしてはいけません。万が一、虚偽の内容が発覚した場合、求職者だけでなく、推薦者であるキャリアアドバイザー、ひいては所属する人材紹介会社の信頼も失うことになります。
【例文付き】効果的な推薦状を書くためのポイント

①:PREP法を意識して書く
- P(Point/結論): まず、最も伝えたいことを端的に述べます。「〇〇さんは、チームをまとめるリーダーシップを持った人物です」
- R(Reason/理由): なぜそのように言えるのか、理由を説明します。「前職のプロジェクトリーダーとして、メンバーをまとめ、目標達成に貢献しました」
- E(Example/具体例): 理由を裏付ける具体的なエピソードを記載します。「特に、チームメンバーの意見が対立した際、双方の意見を丁寧に聞き、建設的な議論を促すことで、全員が納得できる解決策を導き出しました」
- P(Point/結論): 最後に、再び結論を強調します。「このように、〇〇さんはチームを成功に導く上で欠かせない存在です」
②:事実と主観を分けて書く
- 事実: 「〇〇さんは、前職で〇〇のプロジェクトを成功させ、売上を20%向上させました」
- 主観: 「私は、〇〇さんの粘り強さと、目標達成に対する強いコミットメントを高く評価しています」
③:企業が求める人物像を理解する
推薦状を書く前に、企業のホームページや求人情報、採用担当者との打合せを通じて、企業の求める人物像を徹底的に理解しましょう。どのようなスキルや経験、人柄を持つ人材を求めているのかを把握することで、推薦状の内容を企業のニーズに合わせることができます。
また、もし企業の理解度を深めることが難しいとしても、最低限”なぜその職種・業種が向いているのか”という理由は記載するようにしましょう。
④:求める人物像に当てはまるエピソードを書く
⑤:スキルや経験は数字も活用して具体的に書く
- NG例: 「前職では、営業として売上を大きく伸ばしました」
- OK例: 「前職では、営業チームの目標達成に貢献し、個人売上を前年比150%に伸ばしました」
効果的な推薦状の事例
以下は、上記のポイントを踏まえた効果的な推薦状の例文です。
▼ご経歴について
〇〇様は、大学卒業後に〇〇〇〇株式会社に入社し、約3年間 工場部品の営業職として勤務されておりました。
前職では、常にチーム目標の達成に貢献し、目標対比150%の成績を記録。入社後わずか1年でリーダーの役職を任されたという実績をお持ちです。また、営業活動のみならず、他部署と連携しながら社内の業務改善にも取り組み、周囲のメンバーから高く評価されていらっしゃいます。
また、学生時代から現在に至るまでスポーツに打ち込み、高校生・大学生の頃は100名規模の部活動の中で主将も経験しておられ、その中でチームを全国大会出場まで導びかれました。
▼お人柄について
私はキャリアアドバイザーとして〇〇様と複数回面談をさせていただきましたが、その中で強く感じたのが「当たり前のことを当たり前にやる」という信条をまさに業務においても体現されている点であります。
実際に前職におかれましても、営業活動の中で取引先とのやりとりでは即レスを欠かさず・上司から頼まれた仕事は常に期日の1日前に終わるようにスケジューリングを行うなど、年次が経つにつれて徐々に薄れていってしまうようなことでも、常に初心に戻る気持ちで取り組んでおられたとのことです。
〇〇様のそういった行動によって、顧客と良好な関係性を築き、信頼を勝ち得たことで、顧客からも新たな取引先の紹介をしていただくこともあったとのことです。
このような姿勢を持たれている背景にはご自身のルーツがあり、幼いころよりご両親から「常に礼節を欠かさないこと」を教え込まれ、学生時代でのスポーツ経験においても強豪校の中で、ご自身の信条をより一層深められました。
年齢はまだお若いのですが、面談の中でも丁寧で誠実な受け答えで、将来をしっかりと見据えておられることが伝わりました。今回の転職活動では、異業界転職と新たな一歩を踏み出される〇〇様ですが、これまでの経験を活かし、貴社においても必ず活躍される方であるとお見立てし、ご推薦いたします。
▼現職の退職理由について
現職で3年というひとつの節目を迎えた際に今後の自分の将来を見つめ直し、よりスピード感をもって成長できる環境で自身も営業職としてスキルを突き詰めていきたいと思い、ご転職を決意されました。
現職では、若くしてリーダーという役割を任せられておりますが、今のポジションより上については埋まってしまっている状況で、すぐに次のポジションにステップアップすることが難しいとのことでございます。そういった中で、自分の市場価値を今よりも高めたいと〇〇様は考えられ、20代のうちに新しい業界に挑戦したいという気持ちが強くなったとのことです。
異業界への転職とはなりますが、〇〇様であれば必ず早期に活躍されると思い、ぜひ一度直接お会いいただき、そのお人柄と熱意をご確認いただけますと幸いです。
【例文付き】NGな推薦状に共通するポイント
次に、採用担当者からの評価が低くなる、NGな推薦状の共通点を解説します。
①:冗長で分かりづらい文章
②:過度に誇張した文章
③:テンプレートのまま利用した文章
④:生成AIの出力内容をそのまま利用した文章
NGな推薦状の事例
以下は、上記のポイントを踏まえたNGな推薦状の例文です。
NG例文
この度、貴社が募集されている〇〇職に、〇〇〇〇(氏名)様を推薦させていただきます。
〇〇様は、前職で営業として活躍されており、非常に優秀な成績を収められました。仕事に対する熱意も高く、常に新しいことにチャレンジする姿勢は、貴社の事業拡大に貢献できると考えます。
貴社と〇〇様にとって、この度のご縁が素晴らしいものになることを願っております。
【NGポイント】
- 具体性がない: 「非常に優秀な成績」「仕事に対する熱意も高い」といった抽象的な表現が多く、具体的なエピソードや数字が記載されていません。
- テンプレート感が強い: 誰にでも当てはまるような一般的な文章で構成されており、求職者の個性が伝わりません。
- 推薦理由が弱い: 「貴社の事業拡大に貢献できると考えます」という理由が抽象的で、どのように貢献できるのかが不明確です。
【活用可】すぐに使える推薦状テンプレート
ここでは、すぐに活用できる推薦状のテンプレートをご紹介します。このテンプレートをベースに、求職者の情報や企業のニーズに合わせてカスタマイズしてご使用ください。
テンプレート
▼ご経歴について
〇〇〇〇(氏名)様は、大学卒業後に【前職の会社名】に入社し、〇年間、〇〇職として【具体的な業務内容や役割】に従事されました。
前職では、【具体的な実績や成果(数字も含む)】を上げていらっしゃいます。その他、【主業務以外で成し遂げたこと】という実績も残されており、早期から活躍しておられます。
また、学生時代は【スポーツ経験や学生団体の内容】に打ち込み、【役職や役割など】を担い、【実績や成果】の成果を上げられました。
▼お人柄について
私はキャリアアドバイザーとして〇〇様と複数回面談をさせていただきましたが、その中で特に印象的だったのは、〇〇様が持っている【人柄やスキル、仕事への姿勢など】です。具体的には、【人柄やスキルを裏付ける具体的なエピソード】があり、その際【キャリアアドバイザーとしての所感や評価】を強く感じました。
貴社が求める【求める人物像や要件】に、〇〇様が持つ【求職者の強み】は完全に合致していると確信しております。〇〇様は、貴社の事業において【どのように貢献できるか】という点で、大きな力を発揮されることとお見立てし、ご推薦いたします。
▼現職の退職理由について(※汎用的な内容)
自分自身のスキルを一層向上させ、新しいフィールドでの挑戦を果たすためのステップとして退職を決意されました。新たな環境での経験を通じて成長し、より充実したキャリアを築くための前向きなご決断です。
[短期離職の場合]
現職を短期で退職することに関しては、〇〇様ご自身、自己分析の足りなさや事前のリサーチ不足であったと深く反省をしておられます。今回の転職活動では同じことを繰り返さないように、自己分析を深め、決意と覚悟をもって転職活動に励んでおられます。
ぜひ一度〇〇様に直接お会いいただき、そのお人柄と熱意をご確認いただけますと幸いです。