人材紹介業における「求人開拓」とは?

人材紹介業で継続的な事業成長を目指すためには「求人開拓」は非常に重要な業務です。特に、昨今では求職者優位な転職活動がスタンダードとなっており、そのなかで人材紹介会社が生き残るためには常に新しい求人案件を獲得し、求職者に魅力的な選択肢を提供し続ける必要があります。
しかし、「求人開拓と言っても、具体的に何をすれば良いのか分からない」や「効果的な手法が見つからず、成果に繋がらない」といった悩みを抱える人材紹介会社様も少なくないのではないでしょうか。
そこで本記事では、人材紹介業における求人開拓の基礎知識から具体的な手法、成功のためのポイント、さらには自社で行うメリット・デメリット、外部リソースの活用方法まで、幅広く徹底解説します。
この記事を読むことで求人開拓に関する基礎が理解できるので、事業を成長させるための具体的なアクションプランを立てる際の参考にしてみてください。
目次
Toggle求人開拓とはなにか

人材紹介業における「求人開拓」とは、端的に言えば「求職者に紹介するための求人案件を獲得する活動全般」を指します。具体的には、企業が「どのような人材を求めているのか」、「どのようなポジションに空きがあるのか」といった情報を収集し、その企業に対して人材紹介サービスの利用を提案、契約を締結して求人票を得るまでの一連の営業活動がこれに該当します。
「求人開拓」で求められているのが、企業が抱える採用課題に対して、最適な課題解決策を提示することです。単に求人情報を集めるだけでなく、その企業が抱える採用課題を深く理解し、最適な人材を紹介するための土台を築く必要があります。そのため、企業の事業内容、企業文化、将来のビジョンなどを多角的に把握し、潜在的な採用ニーズを掘り起こすことも求人開拓の重要な要素となります。
人材紹介会社は、「求人開拓」によって質の高い求人案件を獲得することで、収益増加とブランド価値向上に繋げることができます。
なぜ求人開拓が必要なのか
人材紹介業において、求人開拓が不可欠である理由は多岐にわたります。
- 事業の継続性と成長のため:
求人案件は、人材紹介業の「商品」そのものであり、商品がなければビジネスは成り立ちません。既存取引先で恒久的に人材を募集している保証はなく、企業の経営状況や採用方針の変更により、突然募集が停止するリスクもあります。そのため、継続的な求人開拓は事業継続のためにも重要です。 - 求職者への提供価値向上のため:
人材紹介会社の最も重要な役割の一つが、多様なバックグラウンドをもつ求職者に対して幅広い選択肢を提供することです。豊富な求人ラインナップをもつことは、より多くの求職者のニーズに応え、結果として「あの会社ならいい求人を紹介してくれる」という信頼にも繋がります。 - 競争優位性の確立のため:
人材紹介市場は競争が激しく、多くの企業がしのぎを削っています。厚生労働省の発表では、令和5年度時点の民間職業紹介事業所数は全国で31,237事業所であり、前年度よりも1,381事業所も増加しています。このように、年々競争が激化する中で他社との差別化を図るためには、独自の魅力的な求人、特に非公開求人や独占求人をどれだけ保有しているかが鍵となります。 - 市場の変化への対応のため:
労働市場や経済状況は常に変動しているため、常に市場の最先端に触れ、変化に柔軟に対応することが今後選ばれるサービスとなるために必要不可欠です。求人開拓を行なうことで企業の生の声を聞き、市場の変化をいち早く察知することが可能になります。
いつのタイミングで必要なのか
求人開拓は、特定のタイミングでのみ行うものではなく、人材紹介事業を運営していく上で「常時継続的に」行うべき活動です。しかし、特に注力すべき、あるいは戦略的にアプローチを見直すべきタイミングも存在しています。
- 人材紹介事業を始める時:
事業開始時が求人開拓の最も重要なタイミングです。事業の土台となる求人案件がなければ、求職者を集めることも、紹介することもできません。 - 既存取引先からの求人が減少した時:
特定の企業や業界に依存している場合、その取引先からの求人が減少すると、事業全体が大きな影響を受けます。 - 特定の業界・職種の求人を強化したい時:
市場の成長性や自社の強みを考慮し、特定の専門分野に特化・強化する戦略を取る場合、その分野の求人を集中的に開拓する必要があります。 - 求職者の登録が増加し、既存求人では対応しきれない時:
集客が好調で、多くの求職者が登録してくれたとしても紹介できる求人が不足していれば機会損失に繋がります。 - 季節的な採用ニーズが高まる前:
業界によっては、特定の時期に採用活動が活発になる傾向があります。これらのピーク時期を見据え、事前に求人を確保しておくことで、機会を最大限に活かすことができます。
市場の動向に常にアンテナを張り、自社の集客状況や事業展開に合わせて、求人開拓の量と質、そして戦略を柔軟に調整していくことが求められます。
求人開拓を行うための2つの手法

アウトバウンド営業での獲得
求人を掲載している企業へのテレアポ
最も一般的かつ基本的なアウトバウンド手法の一つです。求人情報サイト、企業の採用ホームページ、ハローワークの求人情報などをリストアップし、掲載されている連絡先に電話でアプローチします。
- メリット:
- 採用ニーズが顕在化している企業に直接アプローチできるため、比較的短期間で求人獲得に繋がりやすい。
- 特別なツールやシステムがなくても、電話とリストがあれば開始できる。
- デメリット:
- 多くの人材紹介会社が同様のアプローチを行っているため、競争が激しく、企業側に嫌がられる可能性がある。
- 受付で断られたり、担当者に繋がりにくかったりすることも多く、精神的なタフさが求められる。
- リスト作成や架電作業に多くの時間と労力を要する。
- 成功のポイント:
- 単に「人材を紹介します」ではなく、その企業が掲載している求人内容を深く理解し、「どのような人材であれば貢献できるか」「自社に登録しているこのような経験を持つ人材はどうか」といった具体的な提案を盛り込む。
- 企業の業界や特性を事前にリサーチし、共感や課題解決に繋がるトークを心がける。
- 時間帯を変えてアプローチする、メールや手紙を併用するなど、接触方法を工夫する。
人材紹介会社を利用している企業へのテレアポ
既に他の人材紹介会社を利用している、あるいは過去に利用したことがある企業も重要なターゲットです。このような企業は、人材紹介サービスの価値を理解しており、新たなパートナーを探している可能性も考えられます。
- メリット:
- 人材紹介の仕組みやメリットを理解しているため、話が通じやすく、提案を受け入れてもらいやすい。
- 既存の取引先に対する不満(紹介の質、スピード、費用など)があれば、そこを起点に自社の強みをアピールできる。
- デメリット:
- 既に利用している人材紹介会社との取引関係が強固な場合、新規参入のハードルが高い。
- 「他の紹介会社で充足している」と断られるケースも多い。
- 成功のポイント:
- 既存の取引先との違いを明確に打ち出し、自社の強みに沿って他社よりも価値を提供できる点を訴求する。
- 過去の成功事例や、自社独自の強み(特定の職種に強い、独自のスカウト網があるなど)を具体的に伝える。
- 長期的な視点で関係構築を目指し、定期的な情報提供などで接点を持ち続ける。
対象エリアでの飛び込み営業
対象とする地域や業界を限定し、直接企業を訪問する飛び込み営業も有効な手段です。特に、地方都市やインターネット上に情報が少ない中小企業に対しては、顔を合わせたコミュニケーションが信頼関係構築の第一歩となることがあります。
- メリット:
- 担当者と直接会って話ができるため、企業の雰囲気や課題を肌で感じることができる。
- 熱意や誠意が伝わりやすく、電話やメールでは得られない信頼関係を構築できる可能性がある。
- 競合が少ないニッチな求人を発掘できる可能性がある。
- デメリット:
- 事前の約束なしに訪問するため、担当者が不在であったり、門前払いされたりするリスクが高い。
- 移動時間がかかり、1日にアプローチできる企業数が限られるため、効率は低い。
- 担当者の営業スキルやコミュニケーション能力に成果が左右されやすい。
- 成功のポイント:
- 訪問前に企業の基本情報をリサーチし、手ぶらではなく、何かしら情報提供できる資料(業界動向、近隣の採用事例など)を持参する。
- 受付で目的を明確に伝え、誠実な態度で対応する。
- 初回で成果が出なくても、名刺交換や資料の手渡しを目標とし、継続的な接点を持つきっかけを作る。
問合せフォームへのDM送付営業
企業のウェブサイト上に設置されている「お問い合わせフォーム」に自社の人材紹介サービスを売り込むDM(ダイレクトメール)を送付する営業手法です。アウトバウンド手法としては見過ごされがちですが、フォームDM営業もれっきとしたアウトバウンド手法の一種となります。
- メリット:
- 電話営業や訪問営業と比較して、交通費や通信費などのコストを抑えつつ開始できる。
- 24時間いつでも送信可能で、受信側も都合の良いタイミングで確認できるなど時間や場所の制約が少ない。
- 送信した内容や日時が記録として残るため、後の分析や改善に役立てられる。
- デメリット:
- お問合せフォームは本来、顧客からの質問や相談を受け付けるためのまどぐちのため、営業目的のDMは「迷惑メール」と判断され、企業イメージを損なう可能性がある。最悪の場合は、クレームや訴訟につながるリスクがある。
- 多くの企業が同様の手法で営業を行っているため、開封率・返信率は低い傾向にある。
- 企業によってサイトの構成が違うため、お問合せフォームを見つけるまでに時間を要する。
- 成功のポイント:
- 手当たり次第に送るのではなく、事前に相手の事業内容や課題をリサーチし、自社の人材紹介サービスが本当に役立つ可能性がある企業を慎重に選定したうえで送付する。
- テンプレート的な内容ではなく、「なぜその企業に連絡したのか」「自社のサービスでどのような課題を解決できるのか」といったパーソナライズされたメッセージを心がける。
- 多くのメールに埋もれないよう、具体的かつ相手にとってメリットを感じられるような件名となるように工夫する。
インバウンド営業での獲得
オウンドメディアからの流入
自社で運営するブログ、コラムサイト、導入事例集などのオウンドメディアを活用し、採用に関するノウハウ、市場トレンド、人材紹介の活用法などを発信することで、企業の採用担当者からのアクセスを集め、問い合わせに繋げます。
- メリット:
- 企業側が能動的に情報を求めてアクセスしてくるため、比較的温度感の高いリードを獲得しやすい。
- 専門性や信頼性をアピールでき、ブランディング効果も期待できる。
- 一度コンテンツを作成すれば、継続的に集客効果が期待できる。
- デメリット:
- コンテンツ作成やSEO対策に専門的な知識と時間、コストがかかる。
- 効果が出るまでに時間がかかる場合が多く、短期的な成果には繋がりにくい。
- 継続的なコンテンツ更新と改善が必要。
- 成功のポイント:
- ターゲット企業の採用担当者がどのような情報に興味を持ち、どのようなキーワードで検索するかを徹底的に分析し、質の高いコンテンツを制作する。
- SEO対策を施し、検索エンジンからの流入を増やす。
- 問い合わせフォームや資料請求の導線を分かりやすく設置する。
- 成功事例やお客様の声を掲載し、信頼性を高める。
WEB広告からの流入
リスティング広告(検索連動型広告)やディスプレイ広告、SNS広告などを活用し、ターゲット企業に対して直接的にリーチし、自社サービスサイトやランディングページへ誘導します。
- メリット:
- 短期間で効果が出やすく、特定のターゲット層に絞って広告を配信できる。
- 広告の費用対効果(ROAS)を測定しやすく、改善も行いやすい。
- オウンドメディアとの連携で、相乗効果も期待できる。
- デメリット:
- 広告運用にはコストがかかり、専門的な知識やノウハウが必要となる。
- 競合が多いキーワードやターゲット層では、広告単価が高騰しやすい。
- 広告を停止すると、流入も止まってしまう。
- 成功のポイント:
- ターゲット企業に合わせて、適切な広告媒体とキーワードを選定する。
- 魅力的な広告文とランディングページを作成し、クリック率とコンバージョン率を高める。
- A/Bテストなどを繰り返し行い、広告効果を継続的に改善する。
SNSからの流入
Facebook、LinkedIn、X(旧Twitter)などのソーシャルネットワーキングサービス(SNS)を活用し、企業アカウントや担当者個人のアカウントから情報発信を行い、企業とのエンゲージメントを高め、求人獲得に繋げます。
- メリット:
- 比較的低コストで始められ、広範囲なリーチが期待できる。
- 企業の担当者と直接的かつカジュアルにコミュニケーションを取りやすい。
- 企業の最新情報や採用動向をリアルタイムで把握しやすい。
- 自社の雰囲気や担当者の人柄を伝えやすく、親近感を持ってもらいやすい。
- デメリット:
- 炎上リスクや情報漏洩のリスクがあり、運用には注意が必要となる。
- 継続的な情報発信とフォロワーとのコミュニケーションが不可欠で、運用に手間がかかる。
- 直接的な求人獲得に繋がるまでには時間がかかる場合がある。
- 成功のポイント:
- ターゲット企業が利用しているSNSプラットフォームを選定する。
- 単なる宣伝ではなく、役立つ情報や共感を呼ぶコンテンツを発信する。
- コメントやメッセージには迅速かつ丁寧に対応し、関係性を構築する。
- ハッシュタグを効果的に活用し、認知度を高める。
取引先からの紹介による流入
既存の取引企業や、過去に取引のあった企業、あるいはビジネスパートナーなどからの紹介を通じて、新たな求人案件を獲得する手法です。
- メリット:
- 紹介者からの信頼がベースにあるため、非常に質の高いリードを獲得でき、成約率も高い傾向にある。
- 営業コストをほとんどかけずに求人を開拓できる。
- 紹介を通じて、良好な関係性が構築しやすい。
- デメリット:
- 紹介数は自社でコントロールできるものではないため、安定的な求人獲得チャネルにはなりにくい。
- 紹介者に依存する形になり、紹介が途絶えると獲得も止まる。
- 成功のポイント:
- 既存取引先に対して、常に質の高いサービスを提供し、満足度を高めることが大前提となる。
- 定期的なフォローアップや情報提供を通じて、良好な関係を維持する。
- 紹介をお願いしやすい雰囲気作りや、紹介キャンペーンなどの企画・導入を検討する。
- 紹介してくれた企業には、感謝の意を伝え、何らかの形で還元する。
【トップ営業マンに聞く!】求人開拓を成功させるための3つのポイント

ポイント①:アポイント獲得のための行動量・マインド
求人開拓を成功させるために、なによりも大切になるのが、アポイントを獲得することです。そのためには、「他の営業マンよりも1件でも多くアプローチするという行動量」が必要です。当たり前のことではありますが、どんなアプローチ手法であったとしても行動量が伴っていなければアポイントにはつながりません。
さらに、より多くの営業先にアタックするためには多少しんどくとも行動し続けるというマインドも必要になってきます。
例えば、テレアポ営業の場合、営業マンの実力差によってアポイント数にバラツキがでると思われがちですが、実はそうではありません。あくまで、実力や経験の差が出てくるのは「担当者に接触できてから」であり、その前段階はどれだけ優れた営業マンであったとしても成果に大きな差はありません。
具体的には、人材紹介業の場合、受付を突破し担当者と接触できる確率は平均20%と言われていて、どんな営業であったとしてもこの数字にそこまで変化は見られないとのことです。
そういった中で、より1件でも多くのアポイントを獲得するためには1件でも多くのリストにアプローチすることが必要です。
ポイント②:型にはまらない独自のアプローチ
求人開拓をするための一般的なアプローチ方法は前の章でご紹介したとおりの手法がほとんどで、ある程度決まっていると言えます。しかしながら、他の人よりも成果を上げる営業マンは「型にはまらない意外性のある方法」を用いて求人開拓を行っています。
例えば、自分で求人サイトに登録してみたり、人事担当の交流会に参加してみるなどがあります。また、担当者によっては、LinkedinやXを使ってアプローチしているとのことです。
ただし、新しい独自のアプローチ方法によってクレームや、これまでには対処したことがないトラブルに発展するリスクもあるので、新しい手法を行なう際は事前に社内で確認したうえで実施することを推奨しています。
とはいえ、求人企業からすると、これまでの営業手法によるアプローチは過去に何回も受けており、採用担当者によってはそういった営業活動自体に嫌悪感を抱いていることも少なくないので、意外性のあるアプローチ手法によって求人開拓を成功に繋がる可能性は高まるのではないでしょうか。
ポイント③:PDCAを回しつつ具体的な手法に落とし込み
上記でお伝えした2つのポイントは心持ちやマインド面についてのアドバイスが主な内容でしたが、3つ目のポイントでは、実際の営業活動ですぐに活用できる実践的な方法をご紹介いたします。
営業マンが求人開拓に費やすことができる時間も限られている中で、1件でも多くの求人を開拓するためには、効率よくアプローチすることも重要なポイントのひとつです。
そのため、成果を上げる営業マンはアプローチ先の選定から気を配り、効率的な求人開拓につなげています。
例を挙げると、WEB検索を使って営業リストを作成する際に、グループ会社が多数ある企業には積極的にアプローチをかけていきます。グループ会社が複数ある会社は、大元の会社で採用活動を一手に担っているケースもあり、その1社が開拓できると芋づる式に求人を獲得できてしまうからです。仮に親会社で採用を担っていない場合でも、グループ会社の採用担当者を紹介してくれることも少なくないため、かなり効率がよい手法であると言えます。
このように、成果を挙げる営業マンはただ闇雲にアプローチするだけでなく、自分の営業活動を通して「より効果のでやすい方法」を確立させています。最初は他の人のやり方を真似しつつ、自分なりの営業手法を見つけてみてはいかがでしょうか。
求人開拓を自社で行うメリットとデメリットとは
求人開拓を自社で行う際のメリット2選
自社で求人開拓を行うことには、コスト面やマッチング精度向上といった点で大きなメリットがあります。
コスト削減につながる
外部の求人データベースを利用したり、営業代行会社に委託したりする場合、当然ながら利用料や手数料が発生します。これらの費用は、特に事業開始初期や小規模な事業者にとっては大きな負担となる可能性があります。
一方で、自社で求人開拓を行えば、これらの外部コストを削減できます。もちろん、自社の人員による人件費や活動経費はかかりますが、長期的に見れば求人開拓のノウハウが社内に蓄積されることで業務の効率化が進み、相対的にコストを抑えられる可能性があります。また、獲得した求人は自社の資産となり、継続的な収益源となることも期待できます。
マッチング精度が向上する
自社の担当者が直接企業と接し、採用担当者からヒアリングを行うことで、求人票の文字情報だけでは伝わらない、企業の雰囲気、社風、求める人物像のニュアンス、事業の将来性といった「生きた情報」を深く理解することができます。これにより、求職者に対してより具体的で魅力的な情報提供が可能となり、企業と求職者の価値観や志向性まで含めた本質的なマッチングが期待できます。
結果として、入社後のミスマッチを防ぎ、定着率の向上や紹介手数料の返金リスク低減にも繋がります。また、企業との直接的なコミュニケーションや継続的な提案活動を通じて、潜在的なニーズを掘り起こし、独占的な求人案件を獲得できるチャンスも生まれます。
求人開拓を自社で行う際のデメリット2選
時間と労力がかかる
さらには、成果が出るまでに時間がかかることも多く、精神的な負担も大きくなりがちです。また、市場の状況や企業の採用意欲は常に変動するため、最新情報を継続的にインプットする努力が求められます。
一定数のノウハウが必要
効果的な求人開拓を行うためには、営業スキル、コミュニケーション能力、業界知識、労働市場に関する知見、そして何よりも「企業の採用課題を見抜く力」といった専門的なノウハウが必要です。これらのノウハウが不足していると、アポイントが取れなかったり、企業側の信頼を得られなかったりして、なかなか成果に繋がりません。特に、競争の激しい市場においては、他社との差別化を図るための独自の開拓ノウハウを確立することが求められます。
しかしながら、独自の開拓を身に着けた人材を育成するためにはそれなりの時間とコストがかかります。かといって、経験豊富な営業担当者の採用も容易とは言えません。
人材紹介事業を始めるために求人開拓は本当に必要?
ここまで求人開拓の重要性や手法について解説してきましたが、「本当に自社でそこまでやる必要があるのか?」という疑問を持つ方もいらっしゃるかもしれません。特に、リソースが限られている創業期~拡大期の人材紹介会社にとっては、求人開拓にまで手が回らないという現実もあるのではないでしょうか。
結論から言うと、求人開拓の「やり方」は必ずしも自己完結である必要はありません。
求人開拓はアウトソースしても問題ない!
①インサイドセールス代行会社に委託する
インサイドセールス代行会社はその名の通り、インサイドセールス業務を丸ごと肩代わりしてくれるサービスです。例えば、見込み客のリストアップ、テレアポ、メールマーケティングといった実際の業務を専門部隊が請け負ってくれます。経験豊富なオペレーターが効率的にアポイントを獲得してくれるため、商談の機会創出を最大化できます。
- メリット:
- 自社で営業担当者を雇用・育成するコストや手間を削減できる。
- プロの営業スキルにより、短期間で効率的にアポイントを獲得できる可能性がある。
- 自社は質の高い商談やクロージングに集中できる。
- デメリット:
- 委託費用が発生する。
- 代行会社が自社のサービスや強みを十分に理解していない場合、ミスマッチなアポイントが設定される可能性がある。
- 企業の生の声や温度感を直接把握しにくい。
即時的な効果が見込まれる一方で、委託先の自社サービスへの理解度が低く、質の低い商談ばかり設定されるなど、自社のイメージ低下につながるというリスクもあるため、委託先を選定する際には人材紹介業界での実績、料金体系、報告体制などをしっかりと確認することが重要です。
求人データベースを導入する
求人データベースとは、人材紹介事業者向けに開発されているクラウド型の求人情報共有システムです。人材紹介会社は求人データベースの運営会社と契約を結ぶことでデータベース上に登録されている求人を利用することができ、求人開拓不要で自社の求職者に求人を紹介することが可能になります。
- メリット:
- 自社で一から開拓する手間をかけずに、すぐに多数の求人案件にアクセスできる。
- 幅広い業界・職種の求人を扱えるため、求職者の多様なニーズに対応しやすくなる。
- 特に事業開始初期で求人数が少ない場合に活用しやすい。
- デメリット:
- データベース利用料や、成約時に紹介料の一部を支払う必要がある場合がある。
- 他社も同じ求人を扱っているため、競争が激しく、スピードが求められる。
求人データベースは、一つサービスを導入するだけで保有する求人数を一気に数千件まで増やすことができる便利なツールです。求人データベースによっては、サービスの一環として専任担当者から細かいサポートを受けられるものもあるので、創業期の人材紹介会社やいまよりも成果を高めたいという企業にはおすすめです。
まとめ:まずは求人数を増やすことを検討すべきかも
本記事では、人材紹介業における求人開拓の重要性から、具体的な手法、成功のポイント、メリット・デメリットについて網羅的に解説してきました。
求人開拓は人材紹介事業の根幹を支える決して避けては通れない活動で、地道な努力と試行錯誤が必要です。どの手法を用いて求人開拓を行うのかについては、自社の状況・リソース・得意分野、そして目指すべき方向性を踏まえつつ、戦略を立てるとよいでしょう。
良質な求人が豊富にあれば優秀な求職者を集めやすくなり、結果として高い成約率と事業の安定成長に繋がります。短期的な視点だけでなく、中長期的に事業をどう伸ばして行きたいのかを考え、自社の事業フェーズに最適な方法を選択しましょう。
そのため、もし現在、求人数の不足や質の偏りに課題を感じているのであれば、まずは「求人数を増やすこと」を最優先事項として検討すべきかもしれません。
そのうえで、「求人開拓に割けるリソースがない」「提案できる求人数をすぐに増やしたい」という場合には、まずは求人データベースの導入やインサイドセールス代行の契約など外部への委託を検討してみてはいかがでしょうか?