書類選考通過率が転職エージェントの売上に直結する理由|通過率をUPさせるポイントや企業へのアドバイス手法を徹底解説

人材紹介事業において、 書類選考の通過率は単なる数値ではありません。貴社の事業収益性、そして何よりも担当する求職者の成功を左右する極めて重要な指標です。しかし、「書類選考通過率の業界平均はどのくらい?」「なぜ自社の通過率が低いのか」「具体的にどう改善すればいいのか」といった課題を抱えている企業やキャリアアドバイザーは少なくありません。
そこで本記事では、書類選考通過率を向上させるための具体的なノウハウを、転職エージェント様へのコンサルティング経験を元に徹底解説します。
この記事を読めば、貴社の書類選考通過率の改善だけでなく、求職者へのより的確なコンサルティング、そして最終的な売上向上へと繋がるヒントを得ることができるので、最後までお目通しください。
目次
Toggleなぜ重要?書類選考通過率が人材紹介事業の成約に直結する理由
書類選考通過率は、人材紹介事業のビジネスモデルにおいて、収益の源泉である成約率(決定率)に直結する重要なKPI(重要業績評価指標)です。
書類選考の通過率が低いということは、せっかく獲得した求職者(候補者)が、次のステップである面接に進むことなく選考から外れてしまうことを意味します。これにより、以下の2つの大きな機会損失が発生します。
- 潜在的な成約機会の喪失
面接に進まなければ、その求職者が内定を獲得する可能性はゼロです。通過率が10%上がれば、面接に進む候補者の数が増え、それに比例して成約数も増加する可能性が高まります。 - 営業効率の低下
書類作成や求人提案にかけた時間と労力が、書類選考で不採用になった時点で無駄になってしまいます。通過率を改善することは、一人ひとりのキャリアアドバイザーやリクルーティングアドバイザーの業務効率を向上させ、より多くの求職者と企業をマッチングさせることに繋がります。
書類選考通過率を改善することは、単に求職者へのサポートを強化するだけでなく、 事業全体のパフォーマンスを向上させるための戦略的な投資なのです。
一般的な書類選考の通過率は20~30%
一般的に、人材紹介事業における書類選考の通過率は、 20%〜30%が平均的な水準とされています。つまり、ひとりの求職者が10件の求人に応募しても、面接に進めるのは2〜3件程度が平均的な水準です。
しかし、この数値はあくまで目安であり、事業や担当者によって大きく異なります。例えば、以下のような属性のエージェントは書類選考通過率の基準が通常と異なる場合が多いです。
専門職特化型エージェント
ITエンジニアや特定の専門職に特化したエージェントの場合、求職者のスキルと求人要件のマッチング精度が高いため、通過率は平均を上回る傾向があります。
未経験・若手層特化型エージェント
未経験者や第二新卒を扱う場合、求人要件とのミスマッチが生じやすく、通過率が平均を下回ることもあります。そのため、未経験採用を積極的に行っている求人での応募獲得が重要になります。
担当者の力量
求職者の強みを引き出し、企業に的確に推薦する能力が高い担当者は、高い通過率を維持できる傾向があります。
貴社の事業が業界平均と比べてどうか、また、担当者ごとの通過率にばらつきがないかなどを定期的に分析し、課題を特定することが重要です。
優秀な転職エージェントが目指すべき書類選考通過率とは
優秀な転職エージェントが目指すべき書類選考通過率は、単なる業界平均値ではありません。それは、 「求職者が納得のいく転職を実現できる、そして「自社の事業目標を達成できる」水準です。
そして、高い選考通過率を維持している人材紹介会社は、以下の3つのポイントを高いレベルで実行できていることが共通しています。
- 求人理解度の高さ
企業の求める人物像、必須要件、歓迎要件を深く理解し、求職者とのミスマッチを最小限に抑えています。 - 求職者の魅力引き出し
求職者の潜在的な強みや実績を丁寧にヒアリングし、応募書類に具体的に反映させるノウハウを持っています。 - 企業への推薦力の高さ
応募書類だけでなく、推薦文で求職者の強みや人柄を的確にアピールし、採用担当者の興味を引くことに成功しています。
【人材紹介会社向け】求職者が書類選考で落ちてしまう理由4選
書類選考に落ちる原因は、求職者側の問題だけではありません。人材紹介事業者側の 「仕組み」や「アプローチ」に根本的な課題がある場合も多いです。ここでは、人材紹介事業者が着目すべき、書類選考不採用の主な理由を4つご紹介します。

【添削不足】 応募書類に不備がある
求職者から送られてくる応募書類は、必ずしも完璧な状態ではありません。誤字脱字、日付の記入漏れ、写真の貼り忘れなど、基本的な不備が見受けられることもあります。
しかし、これらの不備をチェックせずに企業に提出してしまえば、採用担当者にネガティブな印象を与え、書類選考に落ちる可能性が高まります。これは、求職者の問題ではなく、人材紹介事業者側のチェック体制の問題です。
【添削不足をなくす対策】
- 応募書類チェックリストの作成
履歴書や職務経歴書の必須チェック項目をリスト化し、担当者全員が同じ基準で書類をチェックできる体制を構築しましょう。 - 複数人でのチェック体制
可能であれば、担当者だけでなく、アシスタントなど別のスタッフも応募書類を確認する 「ダブルチェック」体制を導入することで、書類不備の見落としをなくすことができます。
【求人理解不足】求人の必須要件を満たす候補者を提案できていない
求人票に記載されている要件を表面的な情報だけで判断し、候補者を紹介してしまうと、書類選考の段階で「要件を満たしていない」と判断され、不採用になるケースが多発します。多くの場合は、求職者の経歴の問題だけではなく、人材紹介事業者側の「求人理解不足」が根本的な原因であることが多いです。
【求人理解不足をなくす対策】
- 企業担当者との詳細なヒアリング
必須スキルだけでなく、 企業のカルチャー、チーム構成、求める人物像、仕事の進め方など、求人票だけでは読み取れない情報を深くヒアリングしましょう。また、過去にどういったペルソナの方が通過したか、逆にどういった方がお見送りになっているのかまで確認するのがベストです。 - 候補者への詳細な情報提供
企業から得た情報を候補者に具体的に伝え、候補者自身が 「この企業で働くイメージ」を持てるようにすることで、ミスマッチを防ぎ、より質の高い応募に繋がります。
【推薦文・添削力不足】求職者の魅力が伝わらない
職務経歴書は、単なる業務内容の羅列ではなく、「その人がどのような強みを持ち、どのように企業に貢献できるか」をアピールするツールです。しかし、多くの求職者は、自分の強みを客観的に言語化することが苦手です。
キャリアアドバイザーが求職者の魅力を引き出し、応募書類をブラッシュアップできなければ、企業にその魅力が伝わらず、書類選考に落ちてしまう可能性が高まります。
【添削力不足をなくす対策】
- 定量的な実績の引き出し
面談時に「どのような業務で」「どのような成果を出したか」を具体的に深掘りし、「売上を120%に増加させた」「コストを10%削減した」といった 定量的な指標を職務経歴書に追加するようアドバイスしましょう。 - 強みと志望動機の紐づけ
職務経歴書の各項目と志望動機を紐づけ、 「なぜこの企業に貢献できるのか」を明確なストーリーで語れるように添削をサポートしましょう。また、自分の強みを言語化できていない求職者に対しては、学生時代や幼少期まで遡り、価値観を把握することから始めましょう。
【ヒアリング不足】転職回数が多い候補者へのアピール力不足
転職回数が多い求職者に対して、企業は「またすぐに辞めてしまうのではないか」という懸念を抱くことがあります。この懸念を払拭できなければ、書類選考通過は困難になります。特に、第二新卒・既卒などに特化して人材紹介事業を展開している人材紹介会社で起こりやすい落選理由になります。
【ヒアリング不足をなくす対策】
- 転職理由の深掘り
短期間での転職を繰り返している場合は、その背景にある 「一貫したキャリアプラン」や「やむを得ない理由」を丁寧にヒアリングし、それを応募書類や推薦文で明確に伝えましょう。 - ポジティブなストーリーの構築
「多様な経験を通じて幅広いスキルを身につけた」「新しい挑戦を求めて常に自己成長を追求している」といったポジティブなストーリーを企業に伝えることで、転職回数が多いことが強みになることをアピールしましょう。
このような場合は、求職者に対しても書類選考通過率が他者と比較すると厳しいことを率直に伝え、自己研鑽を促したり幅広い求人に目を向けてもらえるようにアドバイスを行うことも大切です。
採用企業はここを見ている!選考書類で重視すべきポイント

ポイント①:基本的なビジネスマナーを守れているか
応募書類に誤字脱字、記入漏れ、写真の不備などがないかは、求職者の「仕事に対する姿勢」を測る第一歩です。これらの基本的なチェックができていないと、「仕事でもケアレスミスが多いのではないか」という懸念を抱かれてしまいます。人材紹介事業者として、この基本を徹底的にチェック・指導することが重要です。
ポイント②:企業に対する志望度が伝わるか
「なぜこの会社で働きたいのか」という志望動機は、採用担当者が最も注目するポイントの一つです。これは、求職者の「本気度」だけでなく、「自社のことをどれだけ理解しているか」を測る指標でもあります。
人材紹介事業者として、企業研究で得た情報を求職者に提供し、志望動機を企業に合わせて個別具体的に深掘りするようアドバイスすることが不可欠です。
ポイント③:転職回数や前職までの在籍期間
転職回数や在籍期間の短さは、懸念材料になりやすいポイントですが、企業が最も知りたいのは、「なぜ転職を繰り返しているのか」という理由です。
人材紹介事業者として、ポジティブな転職理由(キャリアアップ、スキルアップなど)を言語化し、職務経歴書や推薦文で明確に伝えることができれば、企業側の懸念を払拭し、通過率を上げることが可能です。
ポイント④:志望企業と経歴に一貫性があるか
採用担当者は、応募書類全体を通して、求職者のキャリアに「一貫したストーリー」があるかどうかを見ています。過去の経験が、今回の応募職種でどのように活かせるのか、そして将来的にどのようなキャリアを築きたいのかというビジョンが明確に示されているかを確認します。
キャリアアドバイザーとして、求職者の職務経歴書を添削する際には、この 「一貫性」を意識した構成に修正するようサポートしましょう。
書類選考の前にキャリアアドバイザーがチェックする4つの項目
ここでは、貴社のキャリアアドバイザーが、 求職者の応募書類を提出する前に必ずチェックすべき4つの項目を具体的に解説します。これらの項目をチェックリスト化し、社内で共有・徹底することで、貴社全体の書類選考通過率を底上げすることができます。
求職者の経歴に合った求人提案を行う
- スキル・経験の深堀り
過去の業務内容を「何をしたか」だけでなく、「なぜそれをしたのか」「どのように改善したのか」といった 背景まで深掘りすることで、求職者の本質的な能力を把握できます。 - 長期的なキャリアプランの共有
求職者の 将来的なキャリアプランを聞き出し、それに合った求人を紹介することで、ミスマッチによる早期離職を防ぎ、企業への信頼にも繋がります。
職務経歴の実績に定量的な指標を追加する
「売上を向上させた」→「担当チームの年間売上を前年比120%に向上させた」
「業務効率化に貢献した」→「新しいツールの導入により、月間の事務作業時間を20時間削減した」
「顧客対応を担当した」→「顧客満足度アンケートで95%の満足度を獲得し、リピート率向上に貢献した」
このように、具体的な数字を用いることで、候補者の貢献度を一目で理解させ、採用担当者の目に留まりやすくなります。
視覚的に見やすく添削をする
応募書類の内容が素晴らしくても、文字が羅列されているだけでは読みにくいと感じられてしまいます。キャリアアドバイザーは、以下のポイントを意識して添削を行いましょう。
- 箇条書きの活用
業務内容や実績を箇条書きにすることで、情報が整理され、採用担当者が短時間で内容を把握できます。 - 太字や下線
特にアピールしたいキーワードや数字は、 太字や下線を使って強調し、視覚的に訴えかけましょう。 - 簡潔な表現
一文を短く、 簡潔にまとめることで、読みやすさが格段に向上します。
書類の形式や添付写真に不備がないか確認する
書類の形式や履歴書に添付する写真についても必ずチェックを行うようにしましょう。これは基本的なことですが、意外と見落としがちなポイントです。
- 証明写真
履歴書に添付する写真は、 清潔感がある証明写真を使用しているか確認しましょう。 - ファイル形式
提出形式がPDFなどの 指定された形式になっているか、また、ファイル名が適切かを確認しましょう。 - 誤字脱字
最終的なチェックとして、誤字脱字がないか、 日付の記入漏れはないかなどを入念に確認しましょう。
【人材紹介会社向け】書類選考にかかる平均時間・書類選考数の目安と注意点
書類選考にかかる平均時間や応募数の目安を把握しておくことは、求職者への適切な進捗報告と、今後の戦略を立てる上で非常に重要です。

書類選考は通常1週間程度
一般的に、書類選考の結果は 1週間程度で出ることが多いです。しかし、企業の採用担当者の業務状況や、応募者が多い時期(例えば期末)などは、2週間以上かかることもあります。キャリアアドバイザーは、応募から1週間以上経っても連絡がない場合、求職者に不安を与えないためにも、企業に選考状況を問い合わせるなどのフォローを怠らないようにしましょう。
内定獲得までの書類選考数の目安
先述した書類選考通過率を加味すると、多くの求職者が内定を獲得するまでに、 平均して10〜20社程度の書類選考を受けると言われています。書類選考通過率から逆算した内定までに必要な求人数を理解し、担当する求職者には、リードタイムの差が発生しないように一度に複数社へ応募する重要性を伝え、モチベーションを維持させることが重要です。
書類選考中にキャリアアドバイザーがとるべき行動
書類選考中であっても、キャリアアドバイザーの役割は終わりではありません。求職者への接触頻度を高めることが内定承諾確率をあげることに繋がります。
- 求職者へのフォローアップ:
選考状況を定期的に共有し、不安な点がないかヒアリングすることで、求職者との信頼関係を維持しましょう。特に、転職希望時期が直近~3ヶ月以内の求職者は決まる確率も高いので、少なくとも 週に1~2回以上はコンタクトをとることをおすすめします。また、書類選考が通過した際にスムーズに次の段階である面接に進めるように、書類選考と並行して面接対策を実施するようにしましょう。 - 継続的な求人提案:
書類選考の結果を待つだけでなく、並行して別の求人も提案し、選択肢を広げる>ことで、求職者の転職活動をよりスムーズに進めることができます。内定獲得までには、少なくとも 5件以上の求人について常に選考中の状態<であることが望ましいです。
書類選考に落ちたときにエージェントがとるべき行動
落選理由を企業に確認する
キャリアアドバイザーは、不採用の連絡を受けた際、企業に落選理由を問い合わせてみましょう。詳細な理由を教えてくれない企業も多くありますが、中には「スキルは十分だが、志望度が伝わらなかった」「職務経歴書の実績が抽象的だった」といった 具体的なフィードバックをくれるケースもあります。このフィードバックは、求職者への貴重なアドバイスとなり、次回の応募書類の改善に役立ちます。
落選理由を求職者に伝え、一緒に改善する
企業からのフィードバックを、求職者に対して正直に、かつ建設的に伝えましょう。また、伝える際は電話など口頭で伝えたほうが、フィードバック内容を齟齬なく伝えることが出来ます。このような企業からのフィードバックによって求職者の視野が広がることもあるので、 落選理由は基本的には伝えるようにしましょう。
- 書類の改善:
「志望動機が不足していた」というフィードバックがあれば、志望動機を深掘りし、企業に合わせて修正するようサポートしましょう。 - ミスマッチの再確認:
「応募職種とのミスマッチ」が原因だった場合は、改めて自己分析を促し、求職者が本当にやりたい仕事は何なのかを一緒に考え直しましょう。ただし、1社だけでは判断がつかない可能性もあるので、同じ職種で複数社の選考について落選した際に、方向性の転換を検討することをおすすめします。
追加で求人を提案する
落選の理由を分析し、改善策を講じた上で、キャリアアドバイザーは求職者の新しい強みや志向に合った求人を追加で提案します。この「失敗を糧にする」という姿勢を見せることで、求職者との信頼関係はより強固なものになります。また、追加で求人の提案を行う際は、 必ず対面(WEB含めて)で行うことで、追加の提案も受け入れやすくなる傾向にあります。
まとめ
書類選考通過率は、人材紹介事業の成約に直結する重要な指標です。この数値を向上させるためには、単に求職者任せにするのではなく、人材紹介事業者側が戦略的に関与していくことが不可欠です。
【人材紹介事業者が書類選考通過率を向上させるための3つのポイント】
- 求人理解の深化:
企業担当者と深くコミュニケーションをとり、求人票だけではわからない情報を引き出しましょう。 - 書類添削力の強化:
求職者の強みを引き出し、定量的な実績や一貫性のあるストーリーを応募書類に盛り込むノウハウを組織全体で共有しましょう。 - 不採用理由の分析と改善:
不採用を単なる失敗とせず、企業からのフィードバックを次の成功へと繋げるための貴重なデータとして活用しましょう。
これらの取り組みを徹底することで、貴社の書類選考通過率は向上し、求職者へのより質の高いコンサルティング、そして事業全体の売上向上へと繋がるでしょう。
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