【紹介事業者向け】人材紹介の返金規定(返戻金)とは?相場やよくあるトラブルと防ぎ方についても解説

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これから人材紹介事業を始める方の多くが、「返金規定(返戻金制度)」をどう定めればよいのかで立ち止まります。結論から言うと、返金規定の設置は法律上の義務ではありません。しかし、規定がなければ採用企業からの信頼を得づらく、いざトラブルが起きた際の対応ができません。

そこで、本記事では、返金規定の法的位置づけ、金額の相場、契約書への具体的な書き方、そして実際に起こりやすいトラブル事例と防止策まで包括的に解説します。

人材紹介の返金規定(返戻金制度)とは?法律で決まっている?

結論から述べると、人材紹介における返金規定は、職業安定法によって設置が義務付けられているものではありません。返金規定は、人材紹介会社と求人企業との間で個別に取り交わす「民事上の契約」の一部であり、双方の合意によって内容を自由に設計できます。

ただし、厚生労働省は有料職業紹介事業者に対して、返戻金制度を設けることが望ましいとの立場を示しており、事業者は毎年4月1日~4月30日の間で提出が義務付けられている「有料職業紹介事業報告書」において、制度の有無を報告する必要があります。つまり制度の設置は任意だが、有無の報告は義務という点をまず押さえておきましょう。

職業紹介事業報告書の記載例

(出展:「職業紹介事業報告書の記載例について」を元に弊社で加工)

なお、行政文書上では「返金規定」ではなく「返戻金(へんれいきん)制度」という呼称が正式に使われています。両者は同一のものを指すため、人材紹介契約書や社内規程を作成する際には「返戻金制度」の表記で統一しておくと、行政文書や求人企業とのやり取りで混乱が生じにくくなります。

返戻金制度を設ける本来の目的は、紹介した人材が早期に退職してしまった場合の求人企業側の採用コスト損失を軽減し、人材紹介会社としての紹介の質を担保する点にあります。返金規定は単なる値引き制度ではなく、マッチングの精度に対する紹介事業者側の姿勢を示すものと捉えることが重要です。

人材紹介の返金規定の相場・期間別の返金率一覧

返金規定の内容は各社が独自に設計するため法律上の統一基準はありませんが、業界内では一定の相場感が形成されています。多くの人材紹介会社は保証期間を3ヶ月(90日)に設定しており、保証期間内に求職者が自己都合等で退職した場合に、期間に応じた返金率で紹介手数料の一部または全部を返還する仕組みが一般的です。

 一般的な返金率の目安は以下のとおりです。

退職までの期間 返金率の目安
入社1ヶ月未満 80%〜100%
入社1ヶ月以上3ヶ月未満 50%前後
入社3ヶ月以上6ヶ月未満 20%前後 (設定しない事業者も多い)

保証期間を6ヶ月まで延長している事業者も一部存在しますが、期間が長くなるほど人材紹介会社側の返金リスクは高まるため、自社の収益構造とのバランスを見て設定する必要があります。

特に、人材不足が顕著な医療・介護・保育分野を扱う有料職業紹介事業者については、悪質な事業者とのトラブルを改善する目的で設置された厚生労働省の「適正な有料職業紹介事業者の認定制度」において、就職後6ヶ月以内の返戻金制度を設けることが認定基準の一つとして位置づけられており、分野によっては長めの保証期間が事実上の業界標準になりつつあります。

新規の紹介事業者が返金率を設計する際は、上記の相場を参考としつつ、返金率を高くすれば求人企業に選ばれやすくなる一方、自社の利益率は下がるというトレードオフの状況を踏まえて調整することが重要です。

人材紹介で起こりがちな「返金トラブル」と未然に防ぐ対策

返金規定に関するトラブルの多くは、「規定がないこと」よりも「規定の解釈が曖昧なこと」から発生します。以下に代表的な3つの事例と、その防止策を整理します。

事例①:自己都合退職か、会社都合退職かの解釈違い

 求人企業側が「早期退職したのだから返金してほしい」と主張する一方、退職した求職者に事情を確認すると、実際にはハラスメントなど企業側に起因する事由(会社都合)だったというケースは少なくありません。返金の可否をめぐって双方の主張が対立し、トラブルに発展しやすいポイントです。

防止策として、契約書には「自己都合退職の場合のみ返金対象とする」「会社都合による退職・解雇の場合は返金対象外とする」という条件を明記しておく必要があります。あわせて、退職理由の確認方法(本人へのヒアリング記録を残すなど)についても社内規程として定めておくと、判断の根拠を示しやすくなります。

事例②:入社日・退職日のカウント方法のズレ

「入社から30日目での退職なので1ヶ月未満」と主張する求人企業に対し、事業者側は「31日目なので1ヶ月経過後」と判断するなど、起算日の数え方のズレが返金率の食い違いを生むケースです。数日の差で返金率が大きく変わるため、双方にとって金額的な影響が大きく、トラブルに発展しやすい典型例です。

対策としては、契約書上で「入社日を1日目として起算する」など、起算日の定義を明確に記載しておくことが有効です。あわせて、月単位ではなく暦日ベースで期間を定義するなど、解釈の余地を極力残さない条文設計を心がけましょう。

事例③:直接雇用(中抜き)トラブルと違約金

 人材紹介会社が紹介した候補者を、企業側が一度は不採用としたにもかかわらず、その後こっそり直接雇用し、紹介手数料の支払いを回避しようとするケースです。いわゆる「中抜き」と呼ばれるトラブルで、返金規定とは別に、事業者側の収益を守るために契約段階での対策が欠かせません。

防止策として、契約書に「紹介日から一定期間(例:1年間)以内に、当社が紹介した候補者を直接雇用した場合は、正規の紹介手数料または違約金相当額を支払う」旨の中抜き防止条項を盛り込んでおくことが一般的です。返金規定とあわせて、この中抜き防止条項も契約書の必須項目として押さえておきましょう。

「返戻金」以外の補償方法:フリーリプレイスメントとは

返金以外の補償方法として、「フリーリプレイス(無償紹介)」と呼ばれる仕組みも存在します。これは、紹介した人材が保証期間内に退職してしまった場合、代わりとなる人材を無償で再紹介する制度です。

 金銭の返還を伴わないため事業者側のキャッシュフローへの影響を抑えられる一方、求人企業側にとっては採用活動を最初からやり直す時間的コストが発生するというデメリットもあります。返戻金制度とフリーリプレイスメントのどちらか一方、あるいは両方を選択できる形で契約書に定めるケースもあり、自社の制度設計として検討が可能です。制度として採用する場合は、返戻金制度と同様に、対象条件や適用期間を契約書にあらかじめ明記し、双方の合意を得たうえで運用することが重要です。

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返金規定の3つの明示箇所

 返金規定(返戻金制度)は、主に以下の3つの場所で明示することが求められます。

①:人材紹介契約書

求人企業と締結する基本契約書の中に、返戻金制度の対象期間・返金率・対象外条件などを条文として明記します。トラブル防止の観点から、返金規定に関する記載は最も重要な明示箇所です。

②:厚生労働省「人材サービス総合サイト」

 有料職業紹介事業者は、手数料や返戻金制度に関する情報を厚生労働省の人材サービス総合サイトを通じて提供することが求められています。求人企業や求職者が事業者を比較検討する際の公的な情報源となっています。(参照:)

③:人材紹介会社のWEBサイト(任意掲載)

令和6年4月の職業安定法施行規則改正により、これまで事業所内への掲示が必要とされていた「手数料表」「返戻金制度に関する事項を記載した書面」「業務の運営に関する規程」について、事業所内掲示に代えて自社ホームページなどでの情報提供が認められるようになりました。自社サイトに掲載する場合は、求人企業がサービス利用時に必ず参照するページなど、閲覧しやすい場所に掲載することが望ましいとされています。

新規に事業を立ち上げる際は、この3つの明示箇所を意識して情報を整備しておくことで、行政対応と求人企業への信頼獲得の両方に備えることができます。

よくある質問(Q&A)

Q1.人材紹介の返金規定の相場は?

保証期間を3ヶ月とし、入社1ヶ月未満の退職で80%前後、1〜3ヶ月未満で50%前後の返金率を設定する事業者が多く見られます。分野によっては保証期間を6ヶ月まで延長するケースもあります。

Q2.返金規定は法律で決まっている?

 職業安定法上、返戻金制度の設置は義務ではなく任意です。ただし、厚生労働省は制度の設置を推奨しており、有料職業紹介事業報告書での制度の有無の報告は義務付けられています。

Q3.返金が発生した場合、いつまでに企業に振り込むべき?

法律上の明確な期限はありませんが、契約書で「退職の事実が確認できた月の翌月末までに返金する」といった形で、支払い時期をあらかじめ定めておくのが一般的です。

まとめ

 返金規定(返戻金制度)は法律上の義務ではないものの、求人企業からの信頼獲得とトラブル防止の両面で、人材紹介事業の運営には欠かせない仕組みです。相場を踏まえた返金率の設計に加え、起算日や退職理由の解釈など、トラブルの火種になりやすいポイントを契約書上で明確に定義しておくことが、事業を安定的に運営する鍵となります。

とはいえ、これから人材紹介事業を始める方にとって、こうした複雑な制度をゼロから設計するのは決して簡単ではなく、相応の工数もかかります。そのため、求人データベース「Bee」のような業務効率化ツールを活用するのも一つの手段です。

求人データベース「Bee」は、ネオキャリアが開拓した求人をデータベースとの契約だけで活用できる、求人シェアリング型のサービスです。求人企業と直接契約を結ぶ必要がなく、契約後すぐに求職者へ求人を提案できるため、返金規定をはじめとする契約書まわりの整備と並行して、新規事業者でもスムーズに事業を立ち上げることができます。

これから人材紹介事業を始める方は、返金規定を含めた自社の契約書のたたき台を整えつつ、「Bee」のようなサービスの活用もあわせて検討してみてはいかがでしょうか。

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この記事の執筆者
著者山田の顔写真
山田|求人データベースBee運営事務局マーケティング担当

未経験層の転職支援を行う事業部でキャリアアドバイザーを経験後、求人データベースBeeのカスタマーサクセスに転身し、複数の人材紹介会社様の支援を行いました。現在は、「Bee」のマーケティング兼運営を担当しています。現場目線でわかりやすい情報発信を心がけています!