人材紹介の事業計画書の書き方!テンプレートの入手先と記入例も解説

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人材紹介会社の開業時や融資を受ける場面では、事業計画書の準備が避けて通れません。しかし「何をどう書けばよいのか」「テンプレートはどこで手に入るのか」と悩む方は多いものです。

事業計画書には、労働局へ提出する許可申請用と、金融機関の融資審査で使う融資用の2種類があります。求められる項目や書き方が異なるため、違いを理解しないまま作成すると、手戻りが発生しかねません。

この記事では、人材紹介業で開業を目指す方向けに事業計画書の役割とテンプレートの入手先、記載項目の書き方と記入例をわかりやすく解説します。

人材紹介会社が提出すべき事業計画書とは

人材紹介会社における事業計画書とは、開業の許可取得や資金調達のために、事業の方向性や収支の見通しを第三者へ示す書類です。

人材紹介(有料職業紹介事業)は、職業安定法にもとづき厚生労働大臣の許可がなければ営業できません。許可の審査でも融資の審査でも、事業の実現性を客観的に判断する材料が、この計画書です。

労働局では、提出された書類の審査に加えて事業所の実地調査もおこない、許可基準をすべて満たすかどうかを確認します。融資の場面なら、金融機関の担当者が計画書をもとに面談し、計画の現実性や経営者の熱意を見極めます。

人材紹介の事業計画書は2種類

人材紹介で用意する事業計画書は、提出先によって「許可申請用」と「融資用」の2種類に分かれ、それぞれ目的が異なります。そのため、必要な様式や記載内容も変わってきます。

区分 提出先 主な目的 様式
許可申請用 都道府県労働局 有料職業紹介事業の許可取得 様式第2号(指定様式)
融資用 日本政策金融公庫・金融機関など 創業資金の調達 創業計画書(指定様式)または任意様式

以下で、それぞれの中身を順に見ていきましょう。

許可申請用の事業計画書

許可申請用の事業計画書とは、有料職業紹介事業の許可を得るために労働局へ提出する「有料・無料職業紹介事業計画書(様式第2号)」のことです。

この様式は事業所ごとに作成が必要で、記載する中心項目は以下のとおりです。

  • 年間の職業紹介計画(取扱職種の範囲や有効求職者の見込数)
  • 職業紹介の業務に従事する者の数

  • 資産等の状況など

たとえば年間の有効求職者見込数の欄には、確定した人数ではなく、その年度末(3月末)までの現実的な見込み数を記載します。

なお、許可には資産や事務所に関する要件もあわせて求められます。

基準資産額は「500万円×事業所数」以上、自己名義の現金・預貯金は「150万円+60万円×(事業所数−1)」以上が必要です。1事業所で申請する場合は、基準資産額500万円以上、現金・預貯金150万円以上が目安になります。

テンプレート・雛形の入手先

許可申請用の事業計画書(様式第2号)のテンプレートは、厚生労働省のサイトからダウンロードできます。

都道府県の労働局のページには、各種申請書とともにWord・PDF形式の様式が掲載されています。有料・無料職業紹介事業計画書(様式第2号)も同ページで入手でき、記載例もあわせて確認するとよいでしょう。

融資用の事業計画書

融資用の事業計画書は、創業資金などの融資や支援を受けるために、金融機関へ提出する書類です。日本政策金融公庫を利用する場合は、この「創業計画書」が該当します。

たとえば公庫の面談では、提出した計画書にもとづいて動機や経歴、収支の見通しが問われます。創業の動機から収支計画まで幅広い項目で構成され、事業がきちんと利益を生み、返済が可能であることを示さなければなりません

テンプレート・雛形の入手先

融資用の創業計画書は、日本政策金融公庫の公式サイトからダウンロードできます。

「国民生活事業」向けの各種書式ダウンロードのページに、Excel・PDF形式のテンプレートが用意されています。Excel形式なら数値の修正がしやすく、収支計画の試算にも使えるため便利です。

なお公庫の様式には、自分で作成した計画書を提出してもよい旨の記載があります。記載できる情報量には限りがあるため、より詳しく事業を伝えたい場合は、独自に精緻な計画書を別途用意するのも一つの方法です。

人材紹介の事業計画書の書き方・記入例

ここからは、融資用の事業計画書の具体的な書き方を解説します。

以下で紹介する「創業の動機」「市場分析」「収支計画」などの9項目は、許可申請用の様式第2号には含まれていません。これらは、ほぼ融資用、とくに日本政策金融公庫の創業計画書をベースにした項目です。

創業の動機・目的

創業の動機・目的の欄では、なぜ人材紹介事業を始めるのか、その理由と熱意を具体的に書きます。動機があいまいだと、計画全体の説得力も弱まるため、注意しましょう。

【例文】

前職の人材紹介会社で5年間、IT業界の法人営業とキャリアアドバイザーを担当してまいりました。求職者一人ひとりに寄り添った支援に手応えを感じる一方、大手では対応しきれない地方IT人材の転職支援に課題を感じ、地域特化型の人材紹介で貢献したいと考え創業を決意しました。

動機を書くときは、職務経験の年数や自己資金の準備など、具体的な行動を盛り込むのが効果的です。計画的に準備を進めてきたことが伝わり、実現性の評価につながります。

経営者の職歴・事業実績

経営者の職歴・事業実績の欄では、これまでの勤務先や役職、事業に活かせる経験を記載します。

人材紹介は、業界知識や人脈が成果を左右する事業です。そのため経営者の経歴は、事業を遂行できる能力があるかを判断する重要な材料になります。

【例文】

2018年4月、株式会社○○に入社し、製造業向けの人材紹介に従事。2021年にチームリーダーへ昇格し、年間120名の成約実績を達成しました。2024年に退職するまで、求人開拓から内定後のフォローまで一貫して担当してまいりました。

入社・退社の年月を明記し、空白期間をつくらないように書きます。人材紹介の実務経験や成約実績など、事業と直結する成果を数字で示すと説得力が高まります。

取扱商品・サービス

取扱商品・サービスの欄では、提供する人材紹介サービスの内容を具体的に記載しましょう。

何を強みに、どの領域で勝負するのかを明確にすると、事業の独自性が伝わります。漠然と「人材紹介をおこなう」と書くだけでは、計画の輪郭がぼやけてしまいます。

【例文】

IT業界に特化した正社員の人材紹介サービスを提供します。エンジニア経験者のキャリアアドバイザーが、技術スキルを踏まえたマッチングをおこなう点が強みです。紹介手数料は理論年収の35%を予定しています。

サービスの全体像が一目で伝わる構成を意識しましょう。あわせて、ターゲットとする業界・職種、紹介手数料の水準、競合にはない強みをセットで記載すると効果的です。

市場分析と競合状況

市場分析と競合状況の欄では、参入する市場の規模や動向、競合の状況を客観的なデータとともに示します。

事業の将来性を裏づけるには、思い込みではなく根拠が欠かせません。市場が伸びているのか、競合とどう差別化するのか。これらを示すことで、計画の信頼性が高まります。

競合がひしめく市場のどこに自社の勝機があるのかを、特化領域や独自の集客手段とあわせて説明すると効果的です。

取引先・取引関係

取引先・取引関係の欄では、想定する求人企業や求職者の獲得経路を記載します。

具体的な見込み先や提携予定の媒体名を挙げ、売上の裏づけがあることを示しましょう。求人側・求職者側の両方の集客ルートを書くと、事業の回り方が伝わります。

従業員(人員計画)

従業員の欄では、開業時の人員体制と今後の採用計画を記載します。

開業当初は代表者1名であっても、事業拡大に応じた増員の見通しを示しましょう。なお職業紹介の業務従事者50人につき、職業紹介責任者を1人以上選任する必要がある点も意識しておきたいところです。

借入の状況

借入の状況の欄では、現在の借入金の有無や残高、返済状況を記載します。

住宅ローンや自動車ローンなども含め、正直に記載しましょう。公庫は個人の借入状況を確認するため、申告漏れや虚偽の記載は印象を損なう原因になります。

必要な資金と調達方法

必要な資金と調達方法の欄では、開業に必要な金額の内訳と、その資金をどう用意するかを記載します。

ここは融資審査で特に重視される項目です。必要額と調達額が一致し、計画に無理がないことを示す必要があります。

設備資金と運転資金に分けて内訳を書き、自己資金と借入金のバランスを明確にします。許可には基準資産額500万円以上・現金預貯金150万円以上の要件があり、融資金は基準資産額に算入できない点にも注意が必要です。資金計画は、この要件と整合するよう組み立てましょう。

事業の見通し(収支計画)

事業の見通しの欄では、創業当初と軌道に乗った後の売上・経費・利益の見込みを記載します。

返済能力を判断する根幹となるため、数字の根拠が問われます。希望的な数字ではなく、紹介手数料の単価と成約件数から積み上げた現実的な計画を記載しましょう。

【例文】

創業当初は月間成約2件、平均手数料50万円で売上100万円を見込みます。軌道に乗る1年後は月間成約5件、売上250万円を目標とし、人件費・広告費を差し引いた営業利益で返済原資を確保する計画です。

成約件数×平均手数料」で売上の根拠を明示します。経費も人件費・広告費・地代家賃などに分けて見積もり、利益が返済に十分回ることを示しましょう。

まとめ

人材紹介の事業計画書には、労働局へ提出する許可申請用(様式第2号)と、金融機関へ提出する融資用(創業計画書など)の2種類があります。許可申請用は職業紹介計画や資産状況が中心で、融資用は創業の動機から収支計画まで幅広い項目で構成される点が大きな違いです。

テンプレートは、許可申請用が厚生労働省、融資用が日本政策金融公庫の公式サイトからそれぞれ入手できます。本記事で紹介した9項目の書き方と記入例を参考に、具体的な行動や数字の根拠を盛り込みながら作成を進めてみてください。

事業計画書は、許可取得と資金調達の両方を支える重要な書類です。まずはテンプレートを手元にそろえ、一つずつ項目を埋めることから始めましょう。

柴田 充輝
合同会社柴田人事労務オフィス 代表社員
社会保険労務士 / 1級ファイナンシャル・プランニング技能士 / 行政書士
柴田 充輝(しばた みつき)

厚生労働省やハローワークにて10年間勤務し、社会保険や労働保険、求職者支援の実務を担当。現在は業務経験や社会保険労務士としての知識を活かして人事労務や社会保険、転職支援などのコラムを執筆・監修。これまでに社会保険関係や金融関係の記事を中心に、1,200記事以上の執筆・監修経験がある。